転職日記 その2

今日は新しくハローワークで紹介してもらったバイト先
「黄色の好きな人で健康な人募集、時給¥1,000−、交通費・食事支給」
好条件だし、ちょうど黄色いオーバーを着てたのでラッキーかな思った
駅前ビルの2階にある喫茶店へ来いとの事
指定された昼時に行ってみると4人組の男女が食事中だった
ハローワークの紹介できたことを告げるとその中のリーダー格と思しき人物が挨拶した
昼食を取らないかと聞かれたがどうせ家で食うので断り、珈琲を貰う
イマイチどんな業務内容かは判ってないけどどうやらこの前のようにロボット操縦では無い様だ
食事を終えたリーダー格と話をした
健康状態とか家族とかいつ働けるかとか聞かれた後、何か聞きたいことは無いかと聞かれる
そこで業務内容を聞いてみた
「まぁ、主に秘密戦隊だな」
はぁ!?秘密って・・・・それも思いきり、大っぴらにしてるし・・・・・
狐につままれたような顔をしてると喫茶店の電話が鳴り、リーダー格が呼び出された
「何!?また悪の結社出現!?場所は?ウンウン・・・・・わかったすぐに行く」
秘密とか悪とかよりも誰から電話なのかに一番疑問を持った
すぐに出動すると言い、その4人は店を出てビルの2階の倉庫に入って行く
「ホラ、ぼやぼやしていないですぐに来て着替えて!」
紅一点の女性に急かされ中に入ると4人は各々赤、青、桃、緑色の服とヘルメットを装着した
渡された黄色い服は185cmある自分にはちょっと小さめだった
4人は顔を見合わせ苦笑した後、茶色い服を渡してきた
「本来なら黄色い服なんだが今日の所はこれで我慢してくれ」
なんとかサイズの合った服を着た後、ヘルメットを被る
「さぁ、急いで!電車の時間に間に合わない!」
そう言われてビルを飛び出し、13時ちょうどの電車に乗りこみ、5分で2つ先の駅に着いた
駅前では一般の人が行き交う中、悪の結社がバス停の目印の位置を変えたり、乗りもしないタクシーの列に並んだり、買い物袋を持った主婦にナンパしている
「待て!悪の結社め!我々が来たからには好き勝手にはさせないぞ!」
と赤色の服を着たリーダー格が大声を張り上げ、悪の結社と対峙することとなった
並べといわれて左端に立ったが立ち位置が違うと指摘され右端へ移った
すると赤色から順番にポーズを取り、名乗っていく
赤、青と来た後、隣の青にお前の順番だ小突かれた
どうすれば良いんだと聞くとポーズは適当で構わないから黄色で名乗れといわれた
茶色い服なのに・・・・と思いながらグリコのポーズで黄色であることを名乗る
締まらないなぁ・・・・
思ってるうちに全員が名乗り終わり、声を合わせて秘密戦隊であることを名乗った
戦闘が始まり、我々は2時間ほどかけてその場を収めた
最後は後ろの方に姑息に隠れていた中ボス的なキャラを5人でイジメておいた
終わった後、帰りの電車はガラ空きで座って元の駅まで戻れちょっとうたた寝した
これは結構、腹が減る仕事だな・・・・・・
着替え終わり、元の喫茶店へ戻ってご飯を食べる様に勧められる
他の4人も戦闘で空腹だったらしく、食事を始めた
しかし、自分だけカレーライスが出てきた
他の4人はステーキなんて食べてる
なんで自分だけカレーライスなのか聞いて見ると4人は唖然として答えた
「黄色はカレーライスが好きだって昔から相場が決まってるんだよ」
昨日の晩もカレーライスで今日は違う物が食べたかったのでちょっと残念だった
そう言えば昔テレビで見た戦隊モノの番組でも黄色い人はカレーばっかりだったな・・・・・
それよりも今日の服の色をしたカレーじゃなかった点で神様に感謝
食べ終わり、今日はもう帰っても良いとの事で日当である2000円を貰った
どうも支払いは拘束時間ではなく、戦闘時間分、それも切り捨て方式らしい
次回までに自分のサイズに合った黄色い服を用意してくれるとの事だったが、躊躇して返答を保留した
帰宅して風呂に入ると身体中、アザと傷だらけだった
どうやらあの戦闘服ってのはプロテクター効果が無い様だ
戦闘中にぶつけたりした部分が青くなり、擦り傷も多く、風呂の湯がしみた
そう言えば、あのバイト先は社会保険が無いと言ってたからこれからは国保なんか・・・・
保険料とか治療代考えると大赤字になるかもなぁ・・・・・
風呂上りにビールを飲みながら妻に晩御飯は何かと聞いたら昨日の残りのカレーライスだと言う
あぁ・・・・・もう当分カレーは食べたくないよ